b-shock. Fortress

「商人の街」の何がいけないのか。ドラゴンクエスト3にみるアンチパターン。

2019.03.15 追記 続きあり。

たまには技術ではない話もする。
このブログは一応技術縛りはあるんだけど、今から書こうとしている文章をどこに上げようか散々迷い、結局ここになった。

ファミコンで神ゲーとされたゲームソフト、ドラゴンクエスト3の話をする。
容赦なくぶったたくので、覚悟して頂きたいw

筆者の経歴

ダンジョンズ&ドラゴンズ(以下、D&D)が日本語訳されてから、テーブルトークRPGはかなりやった。
遊んだのは海外モノばかりで、国産モノは大流行したソードワールドRPG含め、一切手を付けてない。

一番やったのはルーンクエストだが。
持論では、このゲームには(2版,3版共)世界観とゲームシステムの間に齟齬があり、せっかくの魅力的な 背景世界が台無しになっていた感があり。
ゲームシステムと世界観の再解釈を行い、システム丸ごとのハウスルールを作成。これを使って、 セッション数で言えばおそらく100回を越えるキャンペーンシナリオのゲームマスターをやり遂げたことは、 誇れる実績と自負する。

ドラゴンクエストシリーズ(以後、ドラクエ)については、1から7までリアルタイムで、各々最低でも1周。
8はクリアまでやらなかったけど、9はクリア後のクエスト全て、11は裏ボス倒したぐらいまでは一応やってる。

以下、ドラクエやRPGへのリスペクトがない人間が書いてると、誤解されたくはないので。
あえてマウント気味の経歴を載せる。

TRPG

TRPGの経験がなくとも、どんな遊びかは知っている読者を想定している。
ご存知ない方は、先にググって調べて頂きたい。

ところでおれは、そもそも「テーブルトークRPG」という用語を好まない。
D&Dの流行という背景がないところにWizardry等が輸入された、当時の日本の状況は多少は理解するも、 成り立ちから言っても、RPGといえばTRPGのことに決まっているのである。
電源系のRPGこそがCRPGとでも名乗るべきだ。その様に、本心では思っている。

普段、空気を読まなければいけない状況でなければTRPGと呼ばず、あえてRPGと呼ぶ。 しかし本稿は、残念ながらその「空気を読まなければいけない状況」であり、以降やむを得ずTRPGと呼ぶ次第。
読者に誤解されては本末転倒なので。

ドラゴンクエスト3の評価点

先に評価点について述べておかないのは、公平ではないだろう。

「勇者」「魔王」

「ありふれた」世界観などと評価されることもあるが、こんなにもストレートに、このテーマを扱ったものは それほど多くない。むしろ良い意味で「王道」と言っていいだろう。
特に「勇者」は、一般名詞に過ぎなかったワードに意味を与え、むしろ特徴ある世界観に出来ている。

プレイヤーキャラクターを特別な名前で呼ぶ手法は、クトゥルフの呼び声(現「クトゥルフ神話TRPG」) の「探索者」あたりに由来するだろうか。
手前味噌だけど、上で述べたルーンクエストのハウスルールでもパクらせて頂いた。

レベリング、レアアイテム

クリア後にひたすら狩り、育成をするのが、ドラクエ3の真の遊びどころと感じている。 転職、レベリング、レアドロップ等、全てWizardry #1(以下、Wiz1)のパクリだが、 それは別に悪いことじゃない。
世にドラクエ3をパクったゲームが多くあれど、遊べるものは多くなかったのでは? 遊べるものに出来ている時点で、なんらかの創意工夫があったはずと、ここは評価していい。

Wiz1の話が出たから少しだけ。 このゲーム自身もD&Dの完パクリであり、他のゲームにパクられることを非難できる立場にない。
序盤のバランスの悪さはどうだろう。KATINOを撃って即宿屋に帰る序盤のゲームバランスには全く爽快感がない。 D&Dのシステムをそのまま移植することにこだわりすぎた為と分析しているが、 たしかにシステム上はD&Dとそっくりではあるものの、D&Dはそもそも連戦を行うようなゲームではない。
D&Dの本質を理解したうえでパクったわけではないと言え、この点ではドラクエ3のほうがいい仕事を していると思う。

商人の街

では本題に入ろう。

商人の街とは、ドラゴンクエスト3のエピソードのひとつ。
クリアアイテム「イエローオーブ」入手の為のイベントであり、クリアの為に避けて通れない。

このイベントがゲーム史に残るひどさであるという主張が、本稿の主題。
TRPGのマスターであればアンチパターンになるし、TRPGの経験がない方であっても、ゲームのシナリオに 興味を持つ方には何かを考えるきっかけになるかもしれない。

ざっくり挙げる。

  • メンバーが強制離脱させられる。復帰できない。
  • 勇者の仲間だった者が、何故か悪役にされている。
  • プレイヤーの努力による名誉の挽回が不可能。

以下、このそれぞれについて順に述べていく。

メンバーが強制離脱させられる。復帰できない。

このやらかしについては、説明はあまり必要ないだろう。
他ゲームも割とやってる。昔は、希少アイテムを持ったまま離脱する者すらいた。

ドラクエ3より先にWiz1などを経験していれば、通常はルイーダの酒場に待機組がおり、 4人しか育てていないなどということはなかっただろう。
ドラクエにはキャラクターロストのリスクがないし、4人だけ集中して育てるという攻略自体は 本来妥当。それもあって、アリアハンの住人に「キャラクターをたくさん作ったほうがいい」と アドバイスする者がいないのだろう。
かと思えば、シナリオによって強制的に離脱されるという、理不尽なリスクが存在したわけだ。 4人のメンバーのうち1人が商人だったプレイヤーも、全国に少しぐらいはいただろう。 この人、もしかしたら以降の攻略を諦めたかも知れない。

この点はさすがに問題ありと思ったようだ。
後の移植版ではこの商人が復帰するらしいのだけど、だがしかし、正直そんなことには興味ない。 ファミコン版の名誉を挽回することに全くつながってないし、何より以下に述べる もっとデカいやらかしをスルーしたことに、強い疑問を感じる。

勇者の仲間だった者が、何故か悪役にされている。

多くのRPGに、「プレイヤーの英雄願望を叶える目的」という前提があると思う。 勇者の仲間であるこの商人もヒーローの1人として扱うべきと考える。

悪役にされている意味が本気でわからなかった。
小粋な寓話でも書いているつもりだったのか? マスターの独りよがりでシナリオを書いてはいけないんだぜ。D&Dのルールブックに書いてあるでしょうに。

例えば、ドラクエ3の典型的なプレイヤー像として、中学生男子に登場して頂く。
パーティメンバーとして女の子の商人つくり、好きな子の名前をつけ、こっそり遊ぶ。そんなシーンを想像する。 彼はこのゲームにどのような感想を持っただろうか?

思うに、RPGは物語である以前にゲームであり、一般的な物語に許される全ての手法を 使ってよいとは考えてない。
最低でも何かしらの達成感が必要。悲劇に達成感を持たせることは非常に難しいから、 よほどでなければご法度であると考えている。(ここには異論があっていいかも)

プレイヤーの努力による名誉の挽回が不可能。

最後にして最悪のやらかし。仮にもRPGだから、努力で結末を変えられるという前提がある。

ただ、たとえTRPGでも、実際にはそんなことは無理。
ではどうするかというと、シナリオに説得力を持たせるということに尽きる。 説得力のあるシナリオではおのずとプレイヤーの行動が決まり、プレイヤーの自主的な 選択と、ゲームマスターの意図の間で齟齬が発生しない。

さて、「商人の街」はどうだろう。
一方的に悪役にされ、坂道をころげおち、努力の余地なく悪人にされる。 仲間のマスターがこんなシナリオをやったら、おれは叱るでしょうね。 「おまえほんとに、みんなを楽しませようとしてたのかよ?」

冒頭に挙げた評価点がなければ、この一事を以て、ドラクエ3に対して「話にならないクソゲー」という 評価すら可能だろう。 ドラクエ3をパクったゲーム多くあれど、そのどれも、恐らくこんなやらかしをしてない。

「プレイヤーを楽しませる」という前提がある人間が書くシナリオは、 決してこんなグダグダなものにならない。と、主張させて頂く。

最後に

悪口をたくさん書いたが、これらはそのままアンチパターンになっている。 どうすれば改善できるかは自明なので、特に書かない。

「女の子の商人がおっさんに変わる」というよくあるネタも、上に挙げたやらかしから見れば、 重箱の隅に過ぎない。

2019.03.15 追記 一部修正。てにおは等表記上のものだけ。